清水書院――最も歴史偽造的・左翼的な教科書
清水書院も4つの否定的特徴を有している。それらの中でも、第一の家族解体、第二の国家解体、第四の歴史偽造又は歪曲による贖罪意識の植え付け、という3点で際立った教科書である。第一の特徴から見れば、清水書院は、家族をテーマとする単元を特に設けることはしないし、家族に触れた分量は0.3頁程度でしかない。しかも、東京書籍程度の家族の定義さえもしない。東京書籍以上に、家族というものに固有の価値を認めていないのである。
国家論を削除した清水書院
第一の特徴は前回から強固に存在するものだが、第二の特徴は、今回大きく増幅された。清水書院は、今回の公民教科書の中では、最も大きく変化した教科書である。自由社が登場するまでは最も本格的な国家論を展開する教科書であったし、当然ながら政治権力の必要性も明記していた。前回も、自由社に次いできちんとした国家論を展開していた。ところが、今回、国家論を削除した。そればかりか、政治権力の必要性さえも明確には肯定しなくなった。この変化には、大いに落胆させられた。しかも、政治権力を明確に肯定しないまま、政治権力を制限するのが立憲主義なのだということを多くの箇所で強調している。明らかに清水書院は、反国家・反権力の思想を強めたのである。
在日=強制連行されてきた者の子孫説の展開
この反国家・反権力の思想は、歴史偽造や歪曲を行なってでも、日本国民にアイヌ、沖縄、在日、そして中韓に対する贖罪意識を植えつけようとする態度を生み出す。その最たる例が、在日を強制連行されてきた者たちの子孫だとする説明である。清水書院は、【平等権(2)】という単元の本文で、「在日外国人の約25%が韓国・朝鮮籍の人びとである。それらの人びとは、日本による植民地支配後、やむをえず日本へ移住してきた人びとの子孫も少なくない」と記したうえで、側注で「1910年に日本政府は「韓国併合」を行い、第二次世界大戦中には、多くの朝鮮半島の人びとを強制労働のために日本に連行した」と説明している。すなわち、戦前に朝鮮人が強制連行されてきたとするばかりか、強制連行されてきた者たちの子孫が現在の在日であるとするのである。
しかし、徴用という合法的行為を「強制労働のために日本に連行した」と表現するのはそもそもおかしいが、徴用された者で日本に残った人たちはわずか245人である。それゆえ、とんでもない嘘を清水書院は語っていることになろう。ここまで嘘を書く教科書は、今日では他に存在しない。しかも清水書院は、この嘘を根拠にして、在日に参政権がないことや公務員になる権利が制約されているのは差別ではないかと主張しているのである。
平成27年7月29日更新