各社の教科書を読む歴史編 清水書院|新しい歴史教科書をつくる会

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清水書院――近代における徹底した対中韓隷属史観




清水書院も、五つの否定的な特徴をもっているが、明治時代までは比較的まともな教科書である。特に中心部分の歴史がまともに書かれている。例えば、大化の改新について次のように記されている。

 「645年に中大兄皇子は中臣(のちに藤原)鎌足らとともに、蘇我氏を倒した。これは強大な唐の成立や、朝鮮半島統一へのうごきなどに対抗して、日本でも天皇が直接に政治をおこなうしくみをつくり、国力の強化をめざしたものである」。

傍線部にあるように、ここでは対外防衛の観点が明確に示されているので、中大兄皇子がなぜ大化の改新を決行したか分かる書き方になっている。また、幕末維新期の記述を見ても植民地化される危機がしっかり押さえられているので、幕末維新期の改革が分かりやすくなっている。



「南京大虐殺」「侵略」と明記する教科書

しかし、第一次世界大戦以降の時期になると、歴史歪曲としか言えないような記述を他社以上に多く行っている。特に、その対中韓隷属史観の特徴が目立っている。例えば「南京事件」について、側注で「南京大虐殺」と明記し、単元本文では「南京占領の際は、兵士のほか、捕虜や武器を捨てた兵士や老人・女性・子どもを含む非戦闘員も無差別に虐殺され」と描いている。傍線部のようなことを記すとは余りにもひどい嘘を教科書に書くものである。「南京大虐殺」と位置付けるのは東京書籍と学び舎と清水書院の三社だけであるが、この三社は満州事変と日中戦争を「侵略」と明記している。清水書院は、敗戦の箇所で次のように記している。 

「日本の敗戦は、第二次世界大戦における反ファシズム勢力である連合国側の最終的な勝利であり、中国にとっては満州事変・日中戦争と続いた日本の侵略をしりぞけたことを意味していた。また、朝鮮や台湾、日本の占領地の人びとは日本の支配からの解放として受けとめた」(243頁)。

完全に、日本は悪玉として描かれていることに注目されたい。このような教育によって、学習指導要領が目標として掲げる、わが国の歴史に対する愛情を深めることができるのであろうか。



中国語読みで検索しなければならない教科書

更に度外れた対中韓隷属史観を示すのが、孫文などを索引で引こうとしても、すぐにはたどり着けない事である。韓国関係の事項については日本語読みで索引を引けば直ちに目的の頁が分かるけれども、中国関係の事項についてはそうは行かないのである。日本文教出版の場合と同じように、例えば、袁世凱が出てくる頁を探そうとして「あ行」の索引を見ても、「→ユワンシーカイ」と記されており、「や行」の索引を見なおさなければならないのである。




平成27年7月24日更新