各社の教科書を読む公民編 自由社|新しい歴史教科書をつくる会

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自由社――家族と国家を守る教科書




東京書籍の項で述べたように、公民教科書は、第一に家族解体、第二に国家解体、第三に全体主義的な民主主義、第四にさまざまな贖罪意識の植え付け、という4つの否定的特徴を持っている。これらの否定的特徴が色々に作用して、歴史教科書以上に、日本に害毒を流してきた。


贖罪意識を植えつけ国家論をタブーとした公民教科書

4つの否定的特徴のうち第二と第四の特徴は昭和20年代以来のものである。昭和20年代の歴史教科書には、侵略戦争論をとるものは少数であったし、日本を犯罪国家とする考え方は皆無であった。これに対して公民教科書は、日本をアジアに対する侵略国家、犯罪国家として捉えていた。例えば平成27~31年度版の中教出版は、「日本軍は、アジアの国々の、兵士ばかりか、多くの民衆の生命をうばい、国土を荒し、文化財をこわした。そのために、東亜の各国はいまでも侵略の災害を回復するために、苦しんでいる。軍国日本は、世界の民衆に対して大きな罪を犯した。この罪をつぐなうためには、……さっぱりと永久にわれわれの手から武器をすてるがよい」とまで記していた。

このように当時の公民教科書は、侵略戦争論・犯罪国家論に基づき、侵略責任を果たすために第九条で戦争と戦力を全面放棄したのだと教えていた。しかし、戦争と戦力の全面放棄という極端な平和主義を説くためには、贖罪意識に訴えるだけでは足りない。そこで、昭和20年代の公民教科書は、国家の姿を消してしまった。ようやく昭和30年度以降には「主権国家」の説明が行われるようになっていったが、それでも、国家とは何か、国家の役割とは何か、といったことはきちんと書かれることはなかった。特に、第一の役割であるはずの国防を国家の役割として明記することは行われてこなかった。国防を国家の役割として教えれば生徒から九条に対する疑問が沸き出てくることになるから、公民教科書はできるだけ国家について教育しないようにしてきたのである。


家族の解体を目指し始めた公民教科書

第三の全体主義的民主主義という特徴は前述のように昭和30年代から始まるが、第一の家族解体の傾向は平成5年度以降から始まる。これ以降の公民教科書は、日本社会と国家を解体するために夫婦別姓や外国人参政権を説くなど、社民党や共産党の宣伝パンフのような性格を帯び始める。そして、前回と今回、多数派教科書は、一挙に家族論に関する教育そのものを削除してしまった。こうして、4つの否定的特徴が出揃ったのである。

『新しい公民教科書』の特徴とは、これら4つの否定的特徴を克服しようとしていることである。特に家族解体、国家解体の傾向と闘うために、家族論と国家論などを理論的に提示することに力を注いでいる。したがって、『新しい公民教科書』を一言で特徴づけるならば、家族と国家を守る教科書、と表現するのが相応しい。










平成27年8月10日更新