各社の教科書を読む 歴史編6|新しい歴史教科書をつくる会

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固有名詞のルビ比較
中韓隷属史観の強い影響 脱却した立場を唯一明確にする自由社 





下記の表は、中国大陸・朝鮮半島の人名・国名・地名から代表的な15の固有名詞を選び、それが今回検定合格した中学校歴史教科書の本文でどのようにルビが記述され、巻末索引に日本読みと現地読みのどちらで掲載されているかをまとめた表である。

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索引欄「日」は巻末索引に日本読みで掲載されていることを、「現」は現地読みで掲載されていることを示す。(学び舎は日本読み、現地読みの両方で掲載されている事を示す)

「日→現」は日本読みでの掲載位置を調べた際に、現地読みでの掲載位置へ誘導することを示す。「現→日」はその逆である。

掲載位置が日本読みでも現地読みでも変わらず、判断がつかない帝国書院の遼東半島は「?」としたが、盧溝橋との整合性から判断するに現地読みでの掲載と考えるのが妥当と思われる。

平成23年度版教科書では、現地読みを上に書き、日本読みではなく現地読みを優先的に覚えさせようとする教科書が過半数を占めていたが、今回検定合格した教科書を見ると東京書籍、帝国書院、教育出版の3社が「日本読みを上に書き、現地読みを下に書く日本読み優先」へ転換した。

巻末索引においては3社とも平成23年度検定版では、日本語と現地語のどちらの読み方でも索引で検索が可能であったが、今回からは現地読みでの検索はできない仕様となった。

それならば本文においても現地読みのルビは削除しても良さそうなものであるが、2つの読み方を併記していることは変わらず、中・韓へのへつらいを見せる。育鵬社も前回に引き続き、現地読みを下に書く併記式となった。

日本読みではなく、現地読みを優先して覚えさせようという記述になっているのは日本文教出版と新規参入の学び舎の二社である。

特に悪質なのが日本文教出版であり、「毛沢東」を調べようとして「も」の索引を見ると「毛沢東(もうたくとう)→マオツォトン」と書かれており、現地語みで調べ直せと言わんばかりに誘導される。そこまでして現地読みを子供たちに覚えさせようとする意図は何なのか理解に苦しむ。

自由社のみが従来どおり、日本読みのみを表記する方式を採用した。中韓隷属史観から脱却した立場を明確にしている。
平成27年度検定版教科書をルビの振り方で分類すると下記の4つに分けることができる。

A群(日本読みのみ記述)
自由社

B群(日本読み優先で現地読みとの併記)
育鵬社、教育出版、帝国書院、東京書籍

C群(朝鮮半島の用語は日本読み優先、中国の用語は現地読み優先で併記)
清水書院

D群(現地読み優先で日本読みとの併記)
日本文教出版、学び舎

なお、本稿でも便宜上「現地読み」という用語を使用しているが、中国語は方言によって発音が異なっており、標準語を中国大陸の全人口が使いこなせているわけではないため、「現地読み」とした読み方が中国全土で通用するわけではない。

また、表からわかるとおり、現地読みと言っても「蒋介石」の読み方だけで「チャンチエシー」、「チャンチェシー」、「チアンチェシー」と教科書によって読み方が異なっている。カタカナで無理矢理表記し、現地での発音を学習しない読み方の学習にどれ程の意味があるのか疑問と言わざるをえない。






平成27年7月6日更新