「自由社」vs 「育鵬社」 歴然とした違い
自由社と育鵬社の違いとは、本質的には、日本の生き残りに対する危機感の差である。
危機感の強い自由社は「南京事件」を消去した。危機感のない育鵬社は、他社と同じく、「南京事件」を史実として掲載した。
中国と韓国は、「従軍慰安婦」問題と「南京事件」という2つの虚構を大きく育て上げ、日本は犯罪国家であるとの誤ったメッセージを世界に送り込んできた。
この犯罪国家観の広がりを阻止しないと大変だとの思いから、自由社は「南京事件」を教科書から削除したのである。
退化する育鵬社
危機感のない育鵬社は、平成17年の扶桑社版よりも教科書内容を退化させている。まず、中韓におもねって、人名や地名に中・韓読みのルビを振り、稲作については、大陸からのみ伝わったとしていた扶桑社版の正しい立場を捨て、朝鮮半島伝来説という誤った学説をわざわざ記している。つまり、中韓隷属史観の採用である。
次に、米国におもねって、扶桑社版の「大東亜戦争(太平洋戦争)」という単元名を、「太平洋戦争(大東亜戦争)」という単元名に変更した。当時の正式名称である大東亜戦争よりも、米国に与えられた「太平洋戦争」という名称を重視する。東京裁判史観への回帰である。
更に、天皇権威を軽視する歴史学界におもねって、鎌倉幕府の成立時期について、頼朝が征夷大将軍に任命された1192年説を捨て、頼朝が守護地頭の設置権限を得た1185年説を採用した。また、信長が朝廷から信任を得ようとしたことを書かなくなる。つまり、育鵬社は天皇権威の軽視という特徴も持つのである。
そして、四民平等については「身分制度の改革」とまとめ、衆院議員の制限選挙については東書らと同じく否定的に紹介している。
明治国家形成という世界史上の偉業を冷笑しているのである。この冷笑主義という点も、育鵬社の特徴であろう。
進化する自由社
これに対して、危機感を持つ自由社は、扶桑社版から一歩も退化していない。第一に自由社は、中韓隷属史観から自由であり、中国読み韓国読みのルビを用いず、稲作の大陸伝来説を述べている。第二に、東京裁判史観に立たず、「大東亜戦争(太平洋戦争)」という単元名を維持している。第三に天皇権威を重視する自由社は1192年説に立ち、第四に日本の近代化を評価する自由社は、「四民平等」とまとめ、制限選挙を冷笑したりしない。
しかも、「南京事件」の消去以外にも、例えば創氏改名について、創氏は強制だったが日本風の氏を名乗るかどうかは自由だったと記した。初めて正しい記述が表れたことを喜びたい。
平成27年7月2日更新