「史」から~子供には感動の歴史を|新しい歴史教科書をつくる会

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子供には感動の歴史を

日本の青少年は「自己肯定感(自尊感情Self Esteem)」が突出して低いとの調査結果がある。「自分はダメな人間だと思うことがある」という質問に、「そうだ」と答えた高校生は、アメリカ45%、中国56%に比べて、日本はなんと72%もあり、突出している(平成27年、国立青少年教育振興機構)。

一方、日本人の自殺者数は2万人代後半で推移しており、依然高い状態だ。そのうち18歳以下の自殺者は、平成25年までの42年間で1万8048人である(「自殺対策白書」)。平均すると年400人を超えている。この青少年自殺率の高さは、若者の「自己肯定感の低さ」と密接な関連があろう。戦後長きにわたって施されてきた「祖国を愛せない教育」が、前記の悲惨な状況を招いていると思えてならない。

近年の心理学の知見によると、劣等感や罪悪感、不安感、自信の無さなどに苛まれているクライアントに共通して見られる傾向があるという。それは世代を超えた過去の事実を間違って認識していることなのだそうだ。この「過去の事実」には歴史認識も含まれており、これが原因となって生きる力が削がれているというのである。

教育界やメディアは自国の歴史を否定的に捉え、祖先が歩んできた道程をぞんざいに扱ってきた。多感な時期に「犯罪集団の一員」「犯罪者の血を引く者」とのレッテルを貼り付けられた青少年が、まともに成長するわけがなかろう。自虐的な情報ばかり与えられ、若者たちは知らず知らずのうちに歴史と自分の人生との繋がりを断絶させられてきたのである。その結果、自分が家族や御先祖様に繋がる命の連鎖に支えられている存在であるということさえ認識できず、自己否定と自己嫌悪という孤立状態でカウンセリングのお世話になるのだ。

祖国やその歴史を否定する者は、自分自身の存在をも否定することになるということが理解されるだろう。ここに改めて「つくる会」の重大な使命に感じ入る。

私が教育現場で接する子供たちの中には、何となく「日本は良くない国だ」「たいした国じゃない」という感覚の子が一定数いる。しかし、純粋な子供はしっかりとした教材を与えられれば、素直に感動し、吸収するものだ。日本の素晴らしさを知ると、子供は意欲の高まりを見せる。日本人のDNAが共鳴するのであろう。

健全な歴史観を育てるにあたって大切なのは「先人との繋がり」である。なかでも一つしかない命を捧げた気概ある先人の存在を知ると、「今を生きる自分たちのために闘ってくれたんだ」と先人への感謝の念が湧いてくる。

先人への感謝に目覚めた子は「先人の偉業を受け継ぐ者」としての誇りを持つに至る。そこに良い心と自己肯定感が育つのである。


平成30年5月31日更新



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服部 剛(はっとり たけし)
横浜市公立中学校社会科教諭