新しい歴史教科書をつくる会|教科書改善運動における八木秀次氏の責任問題について

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(資料⑧)

教科書改善運動における八木秀次氏の責任問題について

-平成24年12月12日付け「つくる会」会長名書簡の補足資料-


(1)この文書は、平成24年12月12日付けの当会会長杉原誠四郎名で発信した書簡の中で言及した八木秀次氏の責任問題に関して、事実関係を明らかにし確認するための補足資料です。当面は公表しませんが、時期が来たら状況に応じて公表することもありうることをお含みおき下さい。日本教育再生機構関係者及び、株式会社育鵬社の教科書事業関係者におかれましては、よくよく事情を正確に把握していただきますようお願い申し上げます。

(2)教科書改善運動で両者の関係がこれだけこじれているのは、八木氏自身のこれまでの行いそのものに大きな原因があります。

第一に、八木氏はかつて当会の会員でもあり、会長でもあった方ですが、平成17年12月、当会の理事会にも執行部の会議にも諮ることなく中国社会科学院を訪問しました。そして、何の準備もないままに中国社会科学院によってだまし討ちの形で仕組まれた「学術討論会」に引きずり込まれ、当会の『新しい歴史教科書』に対する一方的な批判を許しました。そのことは、「つくる会」分裂の大きな原因となりました。

また、先般発覚した中国人スパイ・李春光や中国社会科学院との関係も看過できない問題といえます。八木氏は平成18年5月、中国社会科学院の面々を日本に招待し、都内で会合を持っています。その席に李春光が同席していたことが明らかになっています。その席上、中国社会科学院側が、「日中戦争は侵略戦争と認めなさい」と発言するなど、日本の教科書について様々な注文をつけ、その一方で、中国の教科書に関して、八木氏らはなんの注文もつけることが出来ず、教科書改善運動にとって大きな痛手となりました。

(3)第二に、平成18年に生起した「つくる会」の分裂騒動であります。関係者の皆様も、この一件については、教科書改善運動の将来を憂いて心を痛められたことと存じ、当会としても誠に遺憾であったといわざるを得ません。他方、当事者の一人でもある八木氏は、その後、自分は騒動の被害者であったかのような物言いをあちこちでされています。しかし、八木氏が退会にいたった直接の原因は、教科書改善運動の政策論争の結果ではなく、出所不明の文書を使ってある特定の理事を誹謗し、その説明を求められて答えられなくなったことにあります。それは道徳的には決して許されない手段を使った行為でした。

(4)第三に、昨年、八木氏は、教科書改善運動に携わるものとしても、道徳を語る者としても、あってはならない行動をとりました。昨年6月、当会の執筆者が執筆した『新しい歴史教科書』の年表流用問題が突如として生起しました。問題自体は、確かに自由社及び執筆者側の編集体制の不備から生じた不幸な事故に類するものでありましたが、当会はその過ちを直ちに認め、謝罪しました。しかし、八木氏は採択期間中にこれを自由社へのネガティブキャンペーンに使いました。

この件に関連して、当方が具体的に把握しているだけでも次のような事実があります。

① 6月22日、横浜市議団の主催した教科書勉強会で講演した際、朝日新聞の記事のコピーをかざして、「こんなことをするような会社は教科書をつくる資格などない。撤退をお奨めする」と声高に主張しました。
② 6月25日の埼玉県春日部市で開催された「教科書採択を考えるシンポジウム」では、日本教育再生機構事務局が朝日新聞のコピーを会場資料として準備したものを、集会の現地担当責任者がさすがにこれはと躊躇したところ、八木氏が直接指示し配布を強要しています。
③ 7月初旬に開かれた千葉県の自民党県議団主催のある集会でも、朝日新聞の記事を使って自由社批判を行う寸前でした。この時は、当会側が事前にこれを察知し、関係者を通じて育鵬社教科書における「盗作問題」を示唆し、中止を求めたため実行されませんでした。

八木氏は間違いなく、自由社、そして「つくる会」の抹殺にかかったのです。教科書改善運動を進めるリーダーとして、到底許されるものではありません。当会の会員は、このことを決して許さないでしょう。

(5)本年10月には次のような出来事もありました。教科書改善活動の支援者として有力なある方が、自由社社長加瀬英明氏を訪ねられ、自由社と育鵬社の対立の解消に向けて仲介の労を取られようとしました。そこで仲介の一環として、加瀬氏が八木氏と面会して話し合いをしようということになりました。しかし、八木氏はこの話し合いに応じませんでした。八木氏が「両者にとって不幸な今日の事態」解決に向けて、熱意も責任感もないことが、この一件でもよくご理解いただけることでしょう。

(6)安倍晋三氏の自民党総裁選への立候補と再選に貢献されたある自民党有力議員は、当会側に「このまま対立が続けば、次回採択ではともに潰滅する可能性がある。対立の解消に向けて努力して欲しい」と言われました。当会はこの助言を真摯に受け止めております。この助言に沿って「両者にとって不幸な今日の事態」を打開するためには、当会は八木氏の辞任は避けられないものと考えております。

(7)私たち教科書改善運動に取り組む者には、明日の日本を担う若者たちに日本人としての誇りと自信を与える使命があります。教育とは道義国家日本を支える、誇り高き日本人を育てる仕事です。今日の日本を築き上げてきた祖先の生き様を正しく伝え、民族の誇りと自信を与え、青少年の未来に展望を抱かせるものでなくてはなりません。

当然、教科書作成者は、青少年の生き方の指針となる、教科書を作成するにふさわしい人格を備えていなければなりません。個人的な憎しみの感情によって行動することは、子供の教育にたずさわる者にとってあってはならない事です。



八木氏のこれまでとってきた行動は、残念ながら、教科書作成者としてふさわしくないものであったと言わざるを得ません。

当会は決して私的な感情で八木氏を攻め立てているわけではありません。ただ、中国社会科学院と不適切な関係を持ち、「つくる会」を混乱させ分裂に導いたこと、採択の期間を利用して自由社と「つくる会」の抹殺に与したこと、などについて重大な責任があり、その上でさらに、この度の盗作問題がおこったのです。従って、貴方関係者におかれて八木氏の責任問題について明確な決着をつけられない限り、当会として「両者にとって不幸な今日の事態」の解決に取り組むことは困難であることを重々ご理解いただきたく存じます。

今後、「つくる会」・自由社と育鵬社・日本教育再生機構・「教科書改善の会」が、今までのような「不幸な関係」を解消し、ともに前を向いて教科書改善運動を進める可能性を探るため、関係者の皆様には事情をよく把握され、しかるべき対応について検討されますことを心より願っております。

(以上)