新しい歴史教科書をつくる会|10月23日付の貴信に対する返信(育鵬社グループ→つくる会)

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(資料③)

平成24年10月30日

新しい歴史教科書をつくる会
会長 杉原 誠四郎 殿

株式会社 育鵬社 代表取締役社長 久保田 榮一
育鵬社刊『中学社会 新しい日本の歴史』 執筆者代表 伊藤 隆
一般財団法人 日本教育再生機構 理事長 八木 秀次
改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会 (略称・教科書改善の会)
代表世話人 屋山太郎

10月23日付の貴信に対する返信

拝復 新しい歴史教科書をつくる会(以下、「貴会」といいます。)名にて、私共4者を連名して送られてきました「申し入れ」書に対し、4者が協議のうえ連名にてご返事いたします。

今回の貴会からの「申し入れ」に対して、事案が日本の将来を築く子供たちが使用する教科書に関することであり、かつ、これまで教科書改善運動をご支援いただいてきた全国の皆様に無用のご心痛をおかけすることを憂慮するとともに、教科書改善運動の歴史をこれ以上汚すことを避ける事になればと思い、両者にとって不幸な今日の事態の改善を求めての話し合いならば応ずることとし、返信することにいたしました。

私共4者は、今でも、貴会が発足当初にかかげられた教科書改善の志に共感するものであり、創立当時から貴会と教科書改善運動の発展に寄与された先生方の功績は教科書改善運動史に記録されるべきものと評価しております。まことに遺憾ながら、さまざまな要因が重なり合い、私共はやむなく貴会と袂を分かたざるを得なくなって今日に至っておりますが、育鵬社版教科書ならびに新たに貴会が支援されている自由社版教科書が、子供達のためのよりよき教科書となるよう互いに切磋琢磨していくことこそ、教科書改善運動の前進と危機に瀕している我が国の教育の再生に寄与する道であるとの信念のもと今日まで真摯に努めて参りました。

しかしながら、貴会におかれましては、平成18年春以降、貴会と袂を分かたざるを得なかった元同志に対して「石もて追う」かのごとく、貴会の名において非難をつづけられ、貴会の関係者が起こされた法廷訴訟を会として公然と支援してこられました。当然のことながら、貴会関係者が起こされた訴訟はすべて受け入れられず、敗訴となり、告訴された事件についても不起訴となりましたが、この間、当方の関係者が受けた精神的苦痛や被った損害は多大なものがあり、関係者の名誉も著しく傷つけられました。しかしながら、前述の如く、私共は教科書改善運動の歴史と今日この運動を支えていただいている多くの関係者のこと、そして何よりも、私共が関与した教科書で学んでいる子供達や教育現場の先生方、さらに採択していただいた教育委員会をはじめとする関係者の皆さんのことを考慮し、貴会に対する批判や反論はさけて沈黙を守り、ひたすら隠忍自重して参りました。

今回の「申し入れ」に至る過程において貴会がとられてきた私共に対するいわれない盗作を前提とする様々な措置につきましても、それが物事の解決を求めるための順序・段階を無視し、話し合いの相手に対する敬意を欠いた行動の連続であって、遺憾であると言うほかないものであることは明らかでしたが、私共は、やはり同様の姿勢を貫いてきた次第です。

以上、前置きが長くなりましたが、貴信における「話し合いの申し入れ」に対する当方からの回答をさせていただきます。

私共4者は、教科書改善運動の前途を考慮し、貴信の「話し合いの申し入れ」を拒否することはいたしません。私共は、育鵬社版教科書、自由社版教科書が、適切なルールに則り共存共栄していく道を話し合うことこそ、今日の不幸な関係という「問題」を解決するための最善の方法と考えます。従って、貴会の申し入れから貴会がいう「『盗作問題』解決のための」を削除していただくことを、話し合いに応じる前提条件として、貴会の会長の指導のもとにすみやかに実行されることを求めます。この条件が実行されない場合は、残念ながら当方としては話し合いに応じられないことを申し添えます。

以上、貴信に対する返信といたします。

敬具